ノロウイルス感染予防
寒くなってから嘔吐・下痢の患者さんが増えてきました。毎年、11月、12月はノロウイルスによる急性胃腸炎が流行します。今年も始まったようです。
ノロウイルスは、ほとんどの場合、口から体内に入って感染します。食事の前やトイレの後は、石けんでしっかり手を洗うのが感染予防の基本です。
また、床などに残ったおう吐物が時間ともに乾燥して、ノロウイルスが空中を漂ってこれを吸い込むことによっても感染しますからやっかいです。
ノロウイルスの殺菌には、アルコールは力不足で、次亜塩素酸ナトリウムという薬品が有効です。
次亜塩素酸ナトリウムは、市販の家庭用塩素系漂白剤などに含まれています。キッチンハイターやミルトンなどです。これを薄めて使います。
おう吐物の付いた床やタオル、また、直接手で触れる機会のある手すりやドアノブなどは、0.1%(1,000ppm)の濃度の次亜塩素酸ナトリウム溶液を作って使用します。
おう吐物の付着した衣類やシーツは、洗濯をする前に消毒することが重要です。まず、付いた汚物を十分落としてから、0.1%の次亜塩素酸ナトリウム液に1時間浸して消毒するか、85℃以上の熱湯に1分間以上浸し、その後洗濯機に入れます。
【0.1%(1,000ppm)濃度の次亜塩素酸ナトリウム溶液の作り方】
キッチンハイターを使用する場合、キッチンハイター原液の次亜塩素酸ナトリウムの濃度は約5%ですので、これを50倍に薄めます。キッチンハイターのキャップ1杯は約5mlになります。キッチンハイターキャップ2杯(10ml)に水を加えて計500mlになれば0.1%溶液になります。具体的には、500mlのペットボトルを用意して、まず、水をボトル半分入れ、そこにキッチンハイターをキャップ2杯、最後にもう一度水を加えて500mlとします。フタをしてよく振ってできあがりです。ペットボトルには「消毒液、絶対飲むな!」と目立つラベルを貼って、子どもの手の届かないところに保管します。
消毒液は金属を腐食する作用があるので、金属に使用した場合は、消毒後、水で洗い流すか拭き取るようにして下さい。漂白作用がありますので、洋服に付いた場合はすぐに水で洗い流して下さい。
なお、次亜塩素酸ナトリウム溶液は時間とともに効果が減弱していきますのでこまめに作り直す必要があります。