ポリオワクチンの接種について
ポリオの定期予防接種は今年9月に生ワクチンから不活化ワクチンに変更されることが報道されています。現在の生ポリオワクチンは100万から500万回の接種に1回の割合でワクチンウイルスによる麻痺が発生するといわれており、そのようなことがおこることのない不活化ワクチンの導入が待たれていました。ですから、5月に保健所で生ワクチンのポリオの接種を受ける予定のお子さんを持つ保護者の方の中には、今春のポリオを延期して9月の不活化ワクチン接種が開始されるまで待とうかと悩んでいる人もおられます。昨年来のマスコミ報道をきっかけに生ワクチンは危険であるとの風評が流れ、ポリオの接種を控える人が増えました。その結果、ポリオワクチンの接種率が以前は95%近くあったのが最近では75%にまで下がってしまっているそうです。現在の日本は1年前までとは異なり、ポリオに対して免疫を持っていない小児がどんどん増えてきています。海外にはまだポリオが流行しているところもありますので、今はいつポリオが侵入してきて日本での流行がおきてもおかしくない状況になっています。
一方、予定通りに9月から不活化ポリオワクチンの接種が開始されたとしても、不活化の場合はDPTワクチンなどと同じように皮下注射を何回か打って免疫をつける方法ですので、保健所ではなく各医療機関での個別接種になると思われます。そこで希望者が9月に殺到すると混乱は避けられず、さらに10月~11月にはインフルエンザワクチンの接種も開始されます。予約が取れず接種時期が延び延びになってしまう恐れもあります。
そのようなことを考えますと、今春に接種対象の人は、万が一健康被害が生じた場合でも国の補償がついている生ポリオワクチンの接種を受けておいた方が良いと考えています。ただし定期の生ポリオワクチンの接種は5月で終了になります。